タイヤは、自動車で唯一路面と設置する箇所であり、車体の荷重や路面からの衝撃を吸収し、駆動力および制動力を路面に伝えることで自動車を円滑に走行させる役割があります。そこで、タイヤの点検するポイントを身につけ、日々の安全運転に努めましょう!
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[目次]
・タイヤの日常点検をする箇所
1.空気圧の確認
2.溝の残数は適正範囲なのか
3.摩耗状態はどうか
4.亀裂や傷などの確認
5.ひび割れがないか
6.サイド部分の膨らみがないか
・タイヤの空気圧管理方法
1.適正空気圧の確認方法
2.空気圧でのタイヤへの影響
・タイヤの使用限度について
1.残溝の点検方法
2.残溝が不足した際のトラブル
3.スタッドレスタイヤの使用限度
・タイヤの偏摩耗の種類
1.偏摩耗について
2.偏摩耗の原因
3.タイヤの位置交換(ローテーション)の考え方
・まとめ
タイヤの日常点検をする箇所
タイヤについては、空気圧の状態、タイヤの接地部(トレッド)の摩耗、外部の損傷およびコード(タイヤ内部のワイヤー)のはがれやビード部(ホイールと組み合わさる部分)の損傷がないかを確認します。また、空気圧の点検は、タイヤが冷えている状態で行います。タイヤの接地部(トレッド)が摩耗すると、タイヤは、スリップしやすく、熱の放散も悪くなるためタイヤの損傷も早くなります。トレッド部の溝の深さが1.6㎜未満になったものや摩耗限度を示すスリップサインが出ているものはすぐに交換しましょう!くぎやボルトなど異物のささり物がないかも合わせて確認してください。
1.空気圧の確認
・見た目だけでは空気圧が適正なのか分からないので、確実にエアゲージを使って確認しましょう。
・走行前のタイヤが冷えている時に確認してください。適正空気圧は車種によって違うので必ず確認しましょう。多くの車は、運転席のドアの内側の下側付近に数値が記入されています。走行後だとタイヤの温度が上がり膨張するので適正な空気圧が測れなくなります。ちなみに、窒素ガスを充填すると自然低下を抑えられます。
・タイヤのバルブコアからの空気漏れがないかを必ず確認してください。バルブコアは長期間使用していると、ゴムの部分が劣化し空気漏れの原因になるので、タイヤ交換の際に一緒に交換することをおすすめします。
2.溝の残数は適正範囲なのか
タイヤの接地部(トレッド)が全周にわたって残り溝の深さが1.6㎜以下のものや摩耗がスリップサインに達しているものは、整備不良として使用禁止になっています。さらに車検にも通ることができません。
3.摩耗状態はどうか
タイヤの接地部には、排水効果をより良くするため主溝や補助溝、さらにタイヤの接地部(トレッド)に託されている細かい切り込み(サイピング)が付けられていますが、これらはタイヤの摩耗終期になると無くなってしまうので、スリップしやすくなったり、ハイドロプレーニング現象の発生しやすくなり非常に危険です。
ハイドロプレーニング現象は、水のたまっている道路を高速で走行するときに、タイヤが路面上の水を排除する作用が間に合わなくなり、水の抵抗によって路面から浮き上がり水の上を滑走する現象です。
4.亀裂や傷などの確認
タイヤのサイドウォール部に亀裂や傷がある場合は、内部コードに(ワイヤー部分)に達しているとバーストを起こし事故の危険があります。
タイヤの亀裂や傷を防ぐには
・縁石や段差などにタイヤの側面を接触させないように注意しましょう。
5.ひび割れがないか
タイヤのサイドウォール部にひび割れがある場合は、内部コード(ワイヤー部分)に達していなければ、そのまま使用してても大丈夫です。内部コードに達しているものは直ちに交換をしてください。
ひび割れを防ぐには
・空気圧の不足はひび割れの原因になるので、規定の空気圧に合わせましょう。
・タイヤを保管する時は直射日光があたらない場所に置いてください。
6.サイド部分の膨らみがないか
タイヤのサイドウォール部に膨らみがある場合は、そのまま使用しているとバーストする恐れがあるので、すぐにタイヤ交換をしてください。
膨らみを防ぐには
・空気圧の入れ過ぎが原因なので、規定の空気圧に設定しましょう。
タイヤの空気圧管理方法
タイヤの空気圧の管理は、安全性や経済性面において最も重要となっており、管理を怠るとタイヤの機能が低下し、損傷する原因になります。1ヶ月に1度は点検し安全を確保をしてください。
1.適正空気圧の確認手順
適正の空気圧を知る
・各車両によって適切な空気圧が設定されていて、取扱説明書や運転席ドアの内側に表記されています。
タイヤの空気圧計を用意
・空気圧を確認するには、タイヤの空気圧計が必要です。もっていない場合は、ガソリンスタンドに置いてあるのでご自身で適正空気圧に調整しましょう。
空気圧の測定方法
・適正空気圧はタイヤが冷えた状態でおこなってください。タイヤが熱をもつと空気が膨張し、空気圧が上昇することで正確な数値が分からなくなってしまいます。
空気圧の調整
・ホイールに付いているバルブキャップを外し、空気圧計をバルブにしっかりと押し当てることで現在の空気圧が表示されます。空気圧が不足している場合は、レバーを完全に握ることで空気が入っていきます。逆に空気圧が高い場合は、レバーを軽く握り空気を抜いて調整し、最後はバルブに石鹸水をかけ空気漏れがないのを確認しバルブキャップを付けて完了です。
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2.空気圧でのタイヤへの影響
・空気圧が低い場合
1.タイヤのたわみが大きくなり接地面積が増えることで抵抗が増し燃費も悪くなります。
2.路面に接している部分の動きが大きくなるので、摩耗が早くタイヤの寿命が短くなります。
3.タイヤの接地部(トレッド)に偏摩耗が発生しやすくなります。
・空気圧が高い場合
1.タイヤ内部やゴムの表面も非常に強く引っ張られているので、くぎや鉄片等でパンクになりやすく傷を受けやすくなります。さらにバーストする危険性も高くなります。
2.タイヤの接地部(トレッド)に中央摩耗が発生しやすくなります。
3.クッションの役目がなくなるので乗り心地が悪くなります。
タイヤの使用限度について
タイヤの寿命に影響するのは、発熱、衝撃、疲労、摩耗などで、空気圧、荷重、速度、温度、路面の状態、運転の仕方によって変化します。特に空気圧と荷重が重要になっています。
1.残溝の点検方法
方法1:タイヤゲージを使用
・タイヤゲージを溝に差し込み深さを正確に測ることが可能です。
方法2:スリップサインを確認
・スリップサインはタイヤの溝に埋め込まれている突起で、タイヤ面とほぼ同じ高さになると交換のタイミングになります。
方法3:コインを使う簡易チェック
・100円の場合(スタッドレスタイヤ)
数字の「1」側を溝に差し込み、「1」が完全に見えたらスタッドレスタイヤとしては機能しなくなります。
・10円の場合(ノーマルタイヤ)
数字を下側にした状態で溝に差し込み「10」がすべて見えていると交換時期になります。
2.残溝が不足した際のトラブル
・制動距離の延長
制動力はタイヤと路面の摩擦力として伝達され、ブレーキが作用して減速し始めてから停止するまでに走行した距離のことです。なので、タイヤの溝が少なくなっていくにつれ制動距離は長くなります。したがって、雨の日や滑りやすい路面状態では危険度が増し、水をかき出す能力が弱くなるため、さまざまなトラブルにつながります。
・グリップ力の低下
タイヤは駆動力や制動力を路面に伝える役目があります。そのため、タイヤの溝が不足してくると接地力が低下しスリップを起こしやすくなります。
・燃費の悪化
タイヤの溝が少なくなると、転がり抵抗が増大しエンジンに負荷がかかることで燃費が悪くなる原因になります。
・パンクのリスク
タイヤの溝が減ってくると、ゴムの部分が薄くなり路面の衝撃に対する耐性が低下し、異物が刺さったときにパンクのリスクが高まります。
・法律違反や車検の不合格
日本の法律上タイヤの残溝が1.6㎜以下の場合、道路運送車両法に基づき車検に通らず、走行すること自体が法律違反になっています。
3.スタッドレスタイヤの使用限度
・積雪や凍結路走行の時は、スタッドレスタイヤの残り溝が新品時の50%以上であること。
・使用限度は設置部にスタッドレスタイヤの摩耗限度を示すプラットフォームが露出しているか否かで判断します。
・溝の深さが50%未満のタイヤはスタッドレスタイヤとしての機能を発揮できなくなります。
タイヤの偏摩耗の種類
偏摩耗にもさまざまな状態があり、両方摩耗、中央摩耗、外側摩耗、内側摩耗、トーイン摩耗、トーアウト摩耗、波状摩耗、皿状摩耗、ピット摩耗、のこぎり歯状摩耗など多くの種類があります。
1.偏摩耗について
・タイヤの異常摩耗には、早期摩耗と偏摩耗があります。
・早期摩耗は、タイヤのトレッド面全体が早期に摩耗するもので、考えられる原因は、急発進、急加速、急ブレーキなど頻繁にスリップを伴う運転状態になります。
・偏摩耗は、早期摩耗と同じ原因のほか、空気圧が高い、空気圧が低い、ホイールアライメントの狂いなどが考えられます。
2.偏摩耗の原因
・トレッドの両肩が摩耗する場合は、空気圧が不足しているか、荷重がかかり過ぎていることが考えられます。
・トレッドの中央部が摩耗する場合は、空気圧が高いために起こります。
・トレッドの外側が内側に比べて摩耗する場合は、トーイン(車を上から見た時にタイヤがハの字状態)やキャンバー(ホイール中心面と路面に対する鉛直線の角度)が多い場合になります。
・トレッドの内側が外側に比べて摩耗する場合は、トーアウト(車を上から見た時にタイヤが逆ハの字状態)やマイナスキャンバ(ホイール中心面と路面に対する鉛直線の角度が下開きの状態)が多い場合になります。
・トレッド外側から内側に向かって羽根状に摩耗する場合は、トーインの角度をつけ過ぎた場合に起こります。
・トレッド内側から外側に向かって羽根状に摩耗する場合は、トーアウトの角度をつけ過ぎた場合に起こります。
・トレッドが波状に摩耗する場合は、ホイールバランスの不良やホイールベアリングのがた、ホイールアライメント(車体に対するタイヤの角度や位置関係)の狂いなどが挙げられます。
・トレッドが皿状に摩耗する場合は、1ヶ所または数ヶ所におよびます。ホイールアライメントの狂い、ホイールバランスの不良、ホイールベアリングのがた、タイロッドエンドのがた、急激な駆動や制動、旋回などが挙げられます。
・トレッド部が全周にわたってピット状(くぼみ状)に、摩耗する場合は、ホイールバランスの不良が主な原因です。
・トレッドパターンがブロック状のタイヤは、のこぎり歯状摩耗を起こすことが多くなっています。原因としては、ホイールベアリングのがた、トーインの不良、キャスタの不良、ホイールバランスの不良、左右フロントホイールの切れ角の不良などがあります。
3.タイヤの位置交換(ローテーション)の方法
位置交換(ローテーション)は、前輪や後輪、左右各輪のタイヤの摩耗が異なることから、タイヤの摩耗状態を点検し偏摩耗状態が確認できたら位置交換(ローテーション)をおこなってください。
タイヤ位置交換(ローテーション)例
FR車と4WD車
FF車
まとめ
タイヤの残溝が不足すると、安全性が著しく低下し、重大な事故につながる恐れがあります。定期的にタイヤの状態をチェックし、必要に応じて早めの交換を行うことが、安心して車を運転するためには非常に重要です。